2025年8月2日、第24節・藤枝MYFC戦で10カ月ぶりにピッチに戻った河野孝汰選手。大怪我からの復帰、離脱中の葛藤、そして残り試合に懸ける熱い思いを聞いた。
(インタビュアー=田辺久豊、インタビュー日=2025年7月19日)
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10カ月ぶりの復帰戦(2025年8月2日、第24節・藤枝MYFC戦)写真提供/レノファ山口
――今回の怪我を経験して強くなった部分、メンタルも含めて自分が進化したと感じることはありますか?
ブレないことですね。リハビリをしていた時もそうだし、今もそうですけど「本当にここから活躍できるのか?」と自分自身に問いかけた時に、やっぱり不安になってしまう自分がいて。でもそんなマイナス寄りの自分に対して「絶対に俺は戻れる、やれる」と常に言い聞かせて毎日取り組んでいます。
やはりそこには夢とかそういった軸がないといけないと思っていて、一喜一憂するのではなく、自分のやるべきことを疎かにせずにやり続ける。ブレないというのは、今回の怪我を経験して少しずつ、身についてきているところかなと思います。
――一緒にリハビリをしたシルビオ・ジュニオール選手が、復帰してすぐにまた負傷してしまうという悲しい出来事がありました。すごくショッキングだったと思いますが、怖さみたいなものは感じなかったですか?
正直、怖さしかなかったですね。前回自分がアキレス腱断裂から復帰した時も、練習試合で僕の目の前でアキレス腱を断裂してしまった選手がいて、嫌なイメージみたいなものがフラッシュバックしました。リハビリを毎日やってこられたのも、間違いなく一緒にリハビリをやってきた仲間がいたからこそで、トレーナーもそうですが、仲間の存在というのはすごく大きかったです。
ジュニが復帰してすぐに再受傷してしまった時は、もう本当に自分のことのようにすごくショックを受けたし、この長いリハビリの期間を自分も経験しているからこそわかる気持ちもあります。同じ個所をまた負傷するというのは計り知れないほどのショックを受けました。でも、いまはジュニのためにも頑張ろうという気持ちでいます。
復帰を果たし練習でも笑顔がこぼれる(撮影日:2025年8月7日)
――中山元気監督に体制が代わり、アグレッシブさや躍動感というものを取り戻しつつあるのかなと見ていますが、チームの変化みたいなものはどう感じていますか?
元気さんが掲げるレノファらしさ、前に前にというエネルギーをどんどん出していこうというのは、この現状を変えるためにも必要だというのは全員が感じているところです。攻守の切り替えの部分というは、サッカーの大事なところですし、夏場になってより一層大事になってくると思います。そういったところを常に要求されているので、そこを選手が表現するしかないですし、本当に自分たち次第だと思っています。
――フォーメーションも変わり、ツートップ、ツーシャドーという形でやっていますが、自分が復帰した時に勝負したいポジションは?
正直に言えばフォワードですが、シャドーも今まで経験したことがあります。フォワードでやりたい気持ちはありますが、与えられたポジションで自分が何をすべきかを常に考えながらやりたいと思います。
復帰戦では約30分間プレーした(2025年8月2日、第24節・藤枝MYFC戦)写真提供/レノファ山口
――チームはいま降格圏の順位ですが、チームとして置かれている状況はどう感じていますか?
外から見れば残留争いをしているチームという見方はされていると思います。昨シーズンは昇格プレーオフ圏を争いましたが、間違いなく上の順位で戦った方がメンタル的にも経験値は高くなると思います。でもこうやって残留争いを招いてしまったのも自分たちだし、これからの試合はそういったプレッシャーにも打ち勝っていかないといけないです。そういったプレッシャーを乗り越えた先に、自分たちの成長が見えてくると思います。
監督が元気さんに代わり、いま自分たちが表現しているフットボールを疑ってはいけないですし、自分たちは間違ってないという思いで全員がやっていかないとチームとしてもうまくいかないです。1人でも「これ大丈夫なのかな?」という感情を抱いてしまったら、間違いなくそこから歯車は崩れるだろうし、チーム力という部分では、そういった信じてやるというのはすごく大事になってくると思います。一つでも上に行けるようにやっていかないといけないです。
――最後になりますが、このレノファというクラブで育った身として、このクラブを背負っていく覚悟、個人の復帰への思いも含めて意気込みを聞かせてください。
絶対にこのクラブを下に落としてはいけないです。いまクラウドファンディングで多くの方々がレノファのために動いてくださっていますが、このクラブをより良くしたいというのは、サポーターの方、スポンサーの方も、選手もスタッフも全員が思っていることです。まずは残留する、絶対に落ちたくないというのは同じ気持ちだと思います。
そういったいろいろな方のいろいろな形での支援に応えるのは自分たち選手、スタッフでしかないですし、やるのは自分たちです。そういった方々に恩返しをするためにも覚悟を持ってやらないといけないし、相当なエネルギーを持ってやっていかないと、このままシーズンが終わってしまいます。
そこに対して自分が戻り、新たなエネルギーというか、より良い方向に向いていけるように、自分が行動をしていきたいです。大怪我からの復帰なので、まずは自分のコンディションを上げることはもちろんですが、プラスアルファでチームにどういったことを還元できるかというのを自分の中で模索しながらやっていきたいと思っています。
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河野孝汰 -KOTA KAWANO-
2003年8月12日生まれ。山口県周南市出身。2019年にトップチームに2種登録され、同年11月のJ2第41節・モンテディオ山形戦で途中出場し、Jリーグデビュー。翌2020年7月のV・ファーレン長崎戦で16歳11カ月17日という若さで初得点を記録し、当時のJ2史上最年少得点記録を更新した。
2025年8月11日の第25節・ヴァンフォーレ甲府戦は「全力12,000人プロジェクト」。『夏のみらスタはぶちアツい! 全力祭』と題し、イベント盛りだくさんで開催されます。
https://gameevent.renofa.com/archives/game-event/kofu25-2025/